ほんの記録

読書日記など、とりとめもなく

20世紀を生きた世代は社会主義のダメさを後世に伝える義務がある

最近、古典的なマルクス主義みたいなことを言ってる若い人がまだ存在していることを知り驚愕しています。

ベルリンに壁があった時代を知っているおじさんおばさん世代は、社会主義がの失敗をきちんと後世に伝える義務があるのではないか、そんな気がしています。

ソ連・東欧などの他国の話だけではありません。「もっとも成功した社会主義」と言われた日本社会についてもそうです。これはある年齢以上の方なら肌で知っています。

「他人への思いやり」「利己心への反発・嫌悪」「競争より協調」という共同体の論理を、家族や隣人といった顔の見える小さな集団の範囲を超えて、経済全体の運営に使おうとしたのが社会主義です。しかしその結果、巨大な非効率性が生まれ、経済は行き詰ってしまいました。最初に見たように、多くの社会主義国は20世紀の終わりまでにほとんど崩壊してしまったのです。つまり、他人への思いやり、公共心といった道徳律が機能する範囲は、われわれが常識で想像するよりずっと狭かったのです。 神取道宏『ミクロ経済学の力』(p454)

われわれがサービスの悪い役所の職員に憤慨するのと同じように、旧社会主義国社会主義の理想どおりに動かない人を粛清したり強制収容所に送ったりしました。しかし、お役所仕事でわれわれを憤慨させる職員も、デパートで笑顔で「いらっしゃいませ!」と言ってる人も、実は同じ人間なのです。たしかに、人間にはサービス精神に多少の差はあるでしょう。しかし、その中でも特にサービス精神にあふれた人たちばかりがたまたま民間企業に入り、そうでない人ばかりがたまたまお役所に勤める、というのはほとんどありえないことです。より本質をついた説明は、「悪いのは、劣悪なサービスでわれわれを憤慨させる人間ではなく、その人をそんな態度にしてしまった社会の制度設計の欠陥である」というものです。社会主義の大きな失敗は、このことに気がつかなかったことです。 同書(p456-7)

上述の若い方には、国や企業の攻撃ではなく、よりよい制度の提案をお願いしたいところです。

ミクロ経済学の力

ミクロ経済学の力